コラム

講座・コミュニティの事務局運営は、どこまで外注できる?――任せられる仕事と、主催者が手放してはいけない仕事

「講座の中身を考えるのは楽しいんです。でも、事務で疲れてしまって」

講座やコミュニティを主催されている方から、こうしたお話をよく伺います。

結論から申し上げます。
講座やコミュニティの事務局は、申込受付・入金確認・案内やリマインドのメール・名簿管理・当日の段取り・アンケート集計・問い合わせの一次対応まで、ほぼすべて外部に任せられます。
主催者の手元に残すべきなのは、「誰に、何を届けるか」の判断と、参加者との関係づくりの最終責任です。
株式会社Nekonoteでは、人の秘書とAIを組み合わせ、事務局を「外部部署」としてお預かりしています。

講座・コミュニティの事務局運営をどこまで外注できるかを考えるコラムのアイキャッチ。事務局(外部部署)が申込・入金・案内・問い合わせを担い、主催者は誰に何を届けるかと例外の判断を担う役割分担

事務局運営とは

事務局運営とは、講座・セミナー・オンラインサロン・協会・合宿などで、参加者の申込みから終了後のフォローまでを回す、裏方の仕事全体のことです。

この記事で想定しているのは、講師お一人から数名で回している、小さな講座やコミュニティです。
大きな学会や業界団体の事務局とは、悩みの種類が少し違います。

主催者が講師であり、営業であり、経理であり、事務局でもある。
小さな講座ほど、そうなりがちです。

事務局代行に任せられる仕事

Nekonoteでこれまでお預かりした事務局運営は20件。単発のセミナー1回から、会員制のコミュニティの継続運営まであります。

「事務局といっても、そんなに業務はないですよね」
そうおっしゃる方が、実は少なくありません。

けれど、実際に書き出してみると驚かれます。
Nekonoteがお預かりしている、ある講座と卒業生コミュニティの事務局では、毎月の主な業務だけで34項目。説明会がある月は、さらに8項目が加わります。

講座の事務局が毎月担当している主な業務34項目と、説明会のある月に加わる8項目の一覧図。申込・受講生対応7項目(申込受付と名簿作成、お支払い方法の案内、個別問い合わせ、各種案内、参加可否の確認、キャンセル・変更対応、お礼や備品の手配)、決済・入金管理7項目(決済URLの発行、決済エラー対応、分割払いのサポート、領収書・請求書、入金確認、未決済の方へのリマインド、規約・契約書の電子締結)、講義・イベントの準備6項目、講義後のフォロー7項目、運営全体の管理7項目、説明会のある月の8項目。下書きや集計はAIで速くなっても、困っている一人ひとりへの対応は人の仕事

これを時間の流れで並べると、こうなります。

事務局代行に任せられる仕事を時間の流れで整理した図。開催前、前日・当日、開催後、継続運営の4段階。主催者に残すのは誰に何を届けるか、価格・返金など例外の判断、参加者との関係の最終責任

AIの時代になっても、この量はあまり減りません。
文面の下書きや集計は、AIでずっと速くなりました。
でも、決済エラーで困っている方、分割払いを相談したい方、欠席を申し訳なさそうに連絡してくださる方。
ここは、一人ひとりへの対応です。

講座の事務局は、AIで減る仕事より、人が受け止める仕事のほうが多い。
それが、現場で感じていることです。

申込や決済には、Peatix、ユニバペイ、Stripe、銀行振込など、一般的なツールのほとんどにそのまま対応しています。
いま使っている仕組みを変えずに、運用だけをお預かりできます。

主催者が手放さないほうがいい3つのこと

一方で、外に出さないほうがいい仕事もあります。

  1. 誰に、何を届けるかの判断
  2. 価格や返金など、例外の判断
  3. 参加者との関係の、最終責任

作業はお任せいただけます。
でも、講座の「芯」は、主催者のものです。

たとえば、返金のご相談が来たとき。
事務局は、経緯を整理して、主催者がすぐ判断できる形でお渡しします。
決めるのは主催者です。そこを曖昧にしないことが、結果的に参加者の安心にもつながります。

自分で回す・スタッフを雇う・事務局代行に任せる

事務局を自分で回す、スタッフを雇う、事務局代行に任せるの比較表。始めやすさ、固定費、主催者の時間、担当者が抜けたとき、開催が重なる時期の5項目

自分で回すのは、始めやすく、お金もかかりません。
ただ、いちばん大事な「講座の中身を考える時間」が削られていきます。

いちばん危ないのは「卒業生に任せる」

小さな講座で、よく選ばれる形がもう一つあります。
講座の卒業生や、熱心な受講生に事務局をお願いする形です。

講座の中身を分かっている。話が早い。費用も抑えられる。
短い目で見ると、とても使い勝手がよい選択です。

でも、長い目で見ると、私はいちばんリスクが大きい形だと思っています。

その方は、多くの場合、先生に憧れて手を挙げてくださっています。
仕事として引き受けているというより、憧れが関係の土台になっているのです。

そもそも、講座に入ってきたということは、独立心が高い方だということです。
「いつかは、あなたのようになりたい」。だから受講されたはずです。
それなのに、いつの間にか、先生の代わりに事務をしている。
本来なりたかった姿とは、違う場所に立ってしまっているのです。

いつか、ご本人が目を覚ます日が来ます。
「私は、何のためにこの講座に入ったんだろう」と。
それは、ご本人にとっても、主催者にとっても、よいことではありません。

そして現実には、次のことも起きやすくなります。

  • 主催者が、ミスを指摘しにくい。本人も「できない」と言いにくい
  • 役割や報酬があいまいなまま、仕事だけが増えていく
  • 契約がないまま、参加者の名簿や入金の情報を扱うことになる
  • 本人の独立や生活の変化で、ある日突然いなくなる。手順はその人の頭の中にしかない
  • かつての受講生仲間に対して、事務局として公平に振る舞うのが難しい

卒業生に頼む形を比較表に加えると、違いがはっきりします。

事務局を自分で回す、スタッフを雇う、卒業生に頼む、事務局代行に任せるの比較表。始めやすさ、固定費、主催者の時間、担当者が抜けたとき、開催が重なる時期の5項目。卒業生に頼むと報酬があいまいになりがちで、突然抜けると手順が残らない。事務局代行に任せると主催者の時間は判断と確認に絞れ、担当者が抜けてもチームで引き継ぐ

憧れは、ずっと同じ温度では続きません。
それは誰のせいでもなく、自然なことです。

憧れで始まった関係を、仕事の仕組みに頼りすぎない。
卒業生の方には、事務局ではなく、講座を一緒に盛り上げる仲間として関わってもらう。
事務局は、契約と手順で動く外部部署に任せる。
そのほうが、主催者にとっても、卒業生にとっても、関係を長く大切にできると思います。

講座の「らしさ」は、守れるのか

外注を考えるとき、いちばん気になるのはここだと思います。
「うちの講座の雰囲気を分かってもらえるだろうか」。

私たちは、まず主催者の言葉を知るところから始めます。
これまでのご案内メールや、参加者への呼びかけ方、大切にしている考え方。
それを受け取ってから、同じ温度で言葉を選びます。

事務局のメールは、参加者が講座の前後によく目にする文章です。
だからこそ、事務的なだけの文面にはしたくないのです。

私自身、日本フリーランス秘書協会(JFSA)の代表として、協会の講座運営に関わってきました。お手伝いしている会社の合宿で、事務局を務めることもあります。
参加者の方からの一通のお問い合わせに、講座全体の印象が乗っている。そう感じる場面が何度もありました。

とはいえ、私もまだまだ途中です。
以前のコラムで書いたとおり、秘書業務と事務局運営をお一人の担当に任せていた形を、チームでお預かりする形に切り替えようとしているところです。

AIで、どこまで速くなるか

事務局の仕事は、AIと相性がよいものが多くあります。

  • リマインドや案内メールの下書き
  • アンケートの集計と、自由記述の要約
  • 名簿の整理や重複の確認

一方で、送ってよい内容か、宛先や金額が正しいか、例外にどう答えるか。ここは人が確認します。
AIが作業を引き受けてくれる分、人は参加者一人ひとりへの気配りに時間を使えます。
役割分担の考え方は、バックオフィスのAI活用、どこまで任せる?にまとめました。

頼む前に準備しておくこと

ご相談の前に、次のことが分かっていると話が早く進みます。

  • 開催の形(単発/連続講座/会員制)
  • 使っている申込・決済ツール
  • 名簿がどこにあるか
  • 問い合わせの窓口(メール、LINEなど)
  • 判断に迷ったときに、誰に確認するか

全部そろっていなくても大丈夫です。棚卸しから一緒にさせてください。

よくあるご質問

Q1. 1回だけのセミナーでも頼めますか?

はい、単発のセミナー1回からお受けしています。

Q2. 申込者の個人情報や入金の管理も任せて大丈夫ですか?

業務を始める前に、秘密保持契約を結びます。パスワードはお預かりせず、主催者さまのアカウントに担当者用の権限を追加していただく形で、業務に必要な範囲だけを扱います。契約終了時には権限を外していただき、お預かりしたデータはお返しするか削除します。

Q3. 費用はどう決まりますか?

事務局業務は一式でお見積りします。開催当日のリアルタイム同行が必要な場合は、別途お見積りです。

最後に

事務を手放すと、講座の中身に時間を戻せます。
そして、参加者を迎える準備が整っている講座は、主催者にも、参加者にも、やさしいと思います。

「どこから任せたらいいか分からない」という段階で大丈夫です。
主催者の方が、いちばん大切な仕事に集中できるように。事務局の仕事は、その下支えです。

▼Nekonoteの外部化戦略について詳しくはこちら
https://nekonote2023.com/outsourcing/

社長を、勝たせる。

― 株式会社Nekonote 代表取締役 伊藤麻里